(株)秀建 編集部
2024.3.28
サウナ事業を成功させるには?始め方や費用、事例まで詳しく解説
サウナ事業を始める際は、事業計画や資金計画の立案、設計、運営体制の整備などさまざまな準備が必要です。
最近ではユーザーニーズの変化に伴い、異業種とサウナを組み合わせた数多くのビジネスモデルが登場しています。
サウナ施設が増える中で事業を成功させるためには、独自の強みを打ち出すことや顧客目線に立ったコンセプト設計などが重要です。
今回は、サウナ事業の始め方や必要な費用、サウナ事業に使える補助金、具体的な事例などについて詳しく解説します。
このコラムでわかること
●サウナと相性の良い業種を組み合わせることで、既存事業の見込み客増加、競合との差別化などのメリットが生まれます。
●異業種とサウナの組み合わせで今までにないビジネスモデルを構築する場合、それぞれの分野のノウハウを持つ施工会社への相談が重要になります。
サウナ事業の将来性は?今からでも成功できる?
一般社団法人日本サウナ・温冷浴総合研究所の調査結果によると、2024年度はコロナ後のサウナ愛好家人口の増加はいったん落ち着きながらも、熱心な愛好者層は一定数残っている状況です。
地域別の調査データでは、関東都市圏ではサウナ利用頻度が月1~3回の「ミドルサウナー」が前年比で24.0%増加、関西都市圏では利用頻度が月4回以上の「ヘビーサウナー」が15.1%増加しました。
これらのデータから、サウナは根づいた文化として定着しつつあるといえます。
今後のサウナ事業においては、ターゲットを「ライト層」から「コア層」に移行することが重要です。
サウナを頻繁に利用するコア層に向けたアプローチとして、空間演出やコンセプト設計による非日常感の強化が考えられます。
また、グルメや観光、宿泊といったサービスとサウナを組み合わせた複合体験の提供も、コア層に向けた事業戦略の1つです。
サウナ事業の始め方
サウナ事業を始める時の大まかな流れは以下の通りです。
- 事業計画を立てる
- 資金計画を立てる
- 設計・施工
- 運営体制とオペレーションを構築
- 集客・プロモーションを行う
まずは、サウナ施設のコンセプトや人員計画、スケジュールといった事業計画を作成し、資金計画を立てます。
その後、サウナ施設の設計や施工、運営体制やオペレーションの構築を行ったうえで、集客を開始するのが一般的な流れです。
サウナ事業の始め方についての詳しい内容は、以下の記事も合わせて参考にしてください。
サウナ事業で広がる可能性!ビジネスモデルを紹介
サウナ事業と組み合わせて展開できるビジネスモデルには、次のようなものがあります。
- シェアオフィス
- 寺
- エステ/美容
- 老人ホームやリハビリセンター
- 自治体との連携
ここでは、各ビジネスモデルの特徴やサウナ事業との相性について解説します。
シェアオフィス
リフレッシュ効果が高いサウナはビジネスパーソンとの相性が良く、シェアオフィスと組み合わせたビジネスモデルも増えています。
汗を流しながら交流できるサウナスペースは、さまざまな経営者が集まるシェアオフィスとの相性が良いのです。
また、サウナが福利厚生の一環として注目されている背景もあり、今後オフィスにおける存在感も大きくなる可能性がありそうです。
寺
お寺の座禅体験やサウナを組み合わせる事例も登場しています。
静謐な雰囲気や座禅による瞑想とサウナは相性が良く、若い人にお寺に足を運んでもらうきっかけとして取り入れるケースが増えているようです。
また、お寺の雰囲気を活かしたカフェやバーなども増えており、サウナとの組み合わせバリエーションも広がりそうです。
エステ/美容
血行促進や美肌効果などが期待できるサウナは、エステや美容業界との相性も良好です。
サウナを体感した後にセルフエステできる施設、シャンプーやトリートメントを選べる施設なども登場しています。
美容への関心が高い女性ユーザーなど、従来のサウナとは異なるターゲット層にアプローチすることができそうです。
老人ホームやリハビリセンター
スチームや遠赤外線方式の低温サウナは、医療業界でも注目されており、老人ホームやリハビリテーションセンターなどとの組み合わせも考えられます。
低温サウナは身体への負担が少なく、医療の現場で使われている事例もあり、持病をお持ちの方でも医師の許可があれば利用できる可能性があるのです。
少子高齢化が進むこれからの日本において、サウナを健康促進に役立てることには、大きな社会的意義もあります。
自治体との連携
都道府県や市町村と連携し、「サウナツーリズム」で観光客やアウトドア客を呼び込む事例も。
登山やキャンプなどのアクティビティの中にサウナを組み込み、地域全体の需要を高める取り組みです。
湖や川に飛び込める水風呂など、自然の中でしか味わえないサウナ体験、地域の名産を活かした料理など、さまざまなビジネスモデルが考えられそうです。
サウナ事業に必要な費用
サウナ事業に必要な費用は、施工などにかかる初期費用と、施設の運営・維持にかかるランニングコストの2つです。
それぞれの費用について解説します。
初期費用
サウナ施設にかかる初期費用は、広さや内装、設置場所の条件などによって大きく異なります。
たとえば、コンパクトな個人向けサウナと、複数人で利用できる業務用サウナとでは、必要な設備や施工の手間に差があるため、費用も変動します。
そのため、導入前には目的や利用人数、施設のコンセプトに応じて、最適な規模や仕様を検討することが重要です。
ランニングコスト
借地やテナント物件でサウナ施設を運営する場合、ランニングコストとして地代家賃がかかります。
また、サウナの運営に必要な人件費や水道光熱費も主な固定費です。
バスタオルやシャンプー、ボディソープなどの消耗品費に加え、メンテナンス・修繕費や広告宣伝費も、ランニングコストに含まれます。
サウナ事業に使える補助金
サウナ事業を始める際は、補助金を活用すると資金面の負担軽減が可能です。
主な補助金として、以下の2つが挙げられます。
- 事業再構築補助金
- 地方自治体の補助金制度
それぞれ詳しく解説します。
事業再構築補助金
事業再構築補助金とは、コロナ禍や物価高騰といった経済社会の変化に対応するため、事業の再構築に取り組む中小企業等を支援する経済産業省の制度です。
新分野への事業展開や業態転換、事業再編などを行う際に補助金が受け取れます。
補助上限額や補助率は、事業類型や従業員数、事業規模などによって異なります。
ただし、利用には審査に通過する必要があるため、スケジュールや提出書類を確認したうえで手続きを進めましょう。
地方自治体の補助金制度
地域活性化や観光振興、地方創生の一環として、サウナ施設の整備や関連事業支援のための補助金制度を独自に設けている自治体もあります。
たとえば、鳥取県の「とっとりサウナツーリズム促進イベント開催等支援事業補助金」や大分県の「豊後大野市アウトドア・サウナ施設等整備事業補助金」などが、サウナ事業を対象とした補助金の具体例です。
一般的に、地方自治体の補助金制度は、各自治体が管轄するエリア内の事業が対象となります。
補助金の利用条件や補助金額などは自治体によって異なるため、各自治体が発表する情報を確認しましょう。
サウナ事業を成功させるためのポイント
サウナ事業を成功させるためには、以下のようなポイントが重要です。
- 競合に埋もれないための独自の強みを打ち出し、差別化を図る
- 顧客目線を意識したコンセプト設計をする
- ターゲット層に合った立地を選ぶ
- サービスや施設の多角化を検討する
4つのポイントについて詳しく解説します。
競合に埋もれないための独自の強みを打ち出し、差別化を図る
サウナ施設が全国的に増えている近年では、価格競争や集客難に陥らないようにするために、他と差別化できる要素を打ち出す必要があります。
「この施設だからこそ来たい」と思わせる独自性を確立することが、サウナ事業を成功させるために重要です。
たとえば、国産木材や地域材などを活かしてサウナ室を設計したり、薪サウナや岩サウナ、蒸サウナなど複数種類のサウナを設置したりすることが、差別化につながります。
また、「サウナ×和モダン」や「サウナ×音楽」など、独自のコンセプトを打ち出すことでも差別化が可能です。
顧客目線を意識したコンセプト設計をする
独自の強みを打ち出すうえでは、単に「他社がやっていないこと」を考えるだけでなく、顧客目線を意識してニーズに合ったコンセプトを設計する必要があります。
たとえば、「静寂の中で自分と向き合える場所」や「仕事帰りの疲れをリセットできる都市型施設」など、利用者が「どんな時間を過ごしたいか」を考えてコンセプトを作ることがポイントです。
サウナを単なる「空間」として提供するのではなく、「体験価値」を提供することが満足度アップにつながります。
ターゲット層に合った立地を選ぶ
自社が想定するターゲット層に合わせて、サウナ施設の立地を適切に選ぶことも重要です。
従来であれば、サウナ施設は観光地や温泉地で開業することが主流でした。
しかし、最近ではニーズの多様化に伴い、都市や商業施設内、駅前、住宅街などさまざまな立地でサウナ事業が展開されています。
たとえば、仕事帰りのビジネスパーソンをターゲットとするなら、オフィス街が狙うべき立地です。
また、サウナ好きの女性ユーザーがターゲットであればカフェのある生活圏内、サウナ旅志向の若者にはアクセスしやすく景色も良い自然環境などが立地の候補として考えられます。
これらのように、狙う顧客像のニーズに合わせて立地を選ぶことが、集客効率を高めるためのポイントです。
サービスや施設の多角化を検討する
サウナ事業でリピーターを獲得するためには、「ととのう体験」だけでなく、その前後を含めた「サウナ時間全体の充実」を図る必要があります。
サービスや施設を多角化することが、より多くの価値を提供するために効果的です。
たとえば、以下のような施策を行うと、滞在時間と満足度を伸ばしやすくなります。
- サウナ飯(通称「サ飯」)の提供
- ドリンクスタンドやクラフトビールの販売
- ワーケーション対応スペースの設置
- マッサージやボディケア、読書スペースの併設
ターゲット層のニーズを考慮し、「サウナ+α」の価値を提供する方法を検討しましょう。
サウナ事業は差別化が重要!実際の事例5選
ここでは、独自の強みを持ったサウナ施設の事例を5つご紹介します。
各施設のコンセプトや差別化のために工夫したポイントなどを学び、ぜひサウナ事業を始める際の参考にしてください。
おふろcafé かりんの湯
「おふろcafé かりんの湯」は、千葉県香取市にある農園リゾート「THE FARM」内にある温泉施設です。
「THE FARM」の宿泊時だけでなく、日帰りでの温泉施設の利用も可能となっています。
2022年に新設された「サウナガーデン」では、収容人数30人以上の大型ロウリュサウナがあり、男女共に楽しめます。
また、常時15℃の井戸水がかけ流しの水風呂や、ハンモックでそよ風に吹かれながら休憩できる「ととのいスペース」、子ども向けのトランポリンが設置された「ふわふわドーム」など充実した設備が特徴です。
広々とした空間で、大人から子どもまでゆったりとくつろげる施設となっています。
以前から人気の高かった宿泊施設や温泉施設に加えて、サウナ施設を設置したことで、利用者がさらに楽しめるようになりました。
おふろの王様 志木店
「おふろの王様」は、東京や神奈川、埼玉で展開する日帰り温浴施設です。
開店から20年以上経っていた志木店では、2025年にリニューアルを行い、館内全体をイメージチェンジしました。
サウナ施設では、空調設備機器や温浴設備機器などの更新、有料岩盤浴ゾーンの岩盤浴ウェアの新調も行っています。
岩盤浴エリアに新設された室温66度の「Heat Wave」は、毎時15分と45分に音楽が流れる「ミュージックサウナ」です。
また、以前はスチームサウナだった洞窟部屋は「トルネードロウリュサウナ」にリニューアルされました。
浴室については、サウナ2つが新しくなったことや、露天風呂側に水風呂が設置されたことなどが主な変更点です。
さらに、外気浴コーナーも新設され、より充実したサウナ体験が可能になりました。
sauna+laundry neverending
大阪の阿波座駅から徒歩5分にある「sauna+laundry neverending」は、コインランドリー店とサウナの複合施設です。
最大6名までの少人数制サウナで、ゆったりと楽しめる体験価値を提供しています。
クリーニング店として培ったノウハウを活かし、サウナの利用前後に用意されるふかふかのタオルが評判です。
また、サウナ室でロウリュに使用されるアロマ水は、アロマセラピストの資格を持つスタッフにより季節や時間帯に合わせて調合されています。
サウナ室内の温度は100~110度で、段ごとに高さが異なっているため好みの温度で過ごせることも特徴です。
サウナ室の温度が下がらないように、入口付近にストーブを設置する工夫も行われています。
1階のスケルトン天井から2階の排水管が見えにくくなるように、配管ルートの検討が行われました。
西武秩父駅前温泉 祭の湯
「西武秩父駅前温泉 祭の湯」は、ご当地グルメやお酒、銘仙など秩父ならではの体験ができる複合型温泉施設です。
温泉エリアでは、秩父の象徴的な山である武甲山を望む露天風呂をはじめ、高濃度人工炭酸泉やサウナが充実しています。
2024年10月には、もともとあった岩盤浴スペースを、秩父の自然をテーマにした貸切個室サウナへとリニューアルしました。
「月-tuki-」は、サウナタイマーで時間を測るのではなく、12分周期で満ち欠けする特殊造形の月で、時間の経過を視覚的に体験できるサウナです。
「滝-taki-」では、秩父の岩畳をモチーフにした岩壁とオートロウリュの蒸気、水しぶきで滝を表現しています。
これらのほか、秩父で冬に見られる「氷柱」をイメージした-20℃のアイスルームも特徴的な設備です。
かるまる池袋
「かるまる池袋」は、都会にいながら自然を感じられる自分だけの居場所というコンセプトの施設です。
サウナは関東最大級の規模となっていて、薪サウナ、岩サウナ、ケロサウナ、蒸サウナの4種類のサウナがあります。
特に、日本では希少な薪サウナとケロサウナを常設している点は、「かるまる池袋」の魅力の1つです。
水風呂には、10度未満の水温とジェット水流が心地よい「サンダートルネード」、バイブラ効果と約25度の水温で入りやすい「やすらぎ」、約33度とジェット水流で休憩できる「昇天」、水温約14度の透明な浴槽「アクリルアヴァント」の4種類があります。
お風呂も炭酸泉や電気風呂、岩風呂、マス風呂、露天ジャグジーの5種類と豊富です。
さらに、カプセルタイプのベッドルームとホテルタイプの宿泊施設も完備。
カプセルホテルは防音性能に優れた特殊工法により、快適な睡眠環境となっています。
サウナ事業を検討している方は秀建まで
サウナと異業種を組み合わせて新しいビジネスモデルを構築する際、さまざまな課題が出る可能性があります。
今までにないビジネスモデルを形にする場合、施工会社の選定が難しいポイントです。
サウナの施工実績が豊富な温浴施設専門会社であっても、ほかの業種の部分には対応できません。
逆に、飲食やオフィスなど組み合わせる業種のノウハウが豊富でも、温浴施設づくりの実績がない施工会社でも対応は難しいでしょう。
特に、サウナとほかの業種を組み合わせる場合、どちらの法令や基準に合わせてつくるべきかの判断が難しくなります。
前例がない施設づくりでは、消防や保健所などの許可が下りず、思い描くビジネスを形にできない可能性もあります。
こうした課題をクリアするためには、サウナと組み合わせる業種両方の実績が豊富な施工会社に相談することが大切です。
それぞれのノウハウが豊富な施工会社なら、関係窓口との事前協議で課題をクリアして、思い描くビジネスモデルを形にできる可能性が高くなります。
新しいビジネスモデルのサウナ複合施設をつくる際は、店舗・商業施設づくりのプロフェッショナル秀建にご相談ください。
サウナ・飲食・物販・オフィスなど幅広い業種の施工実績がございますので、しっかりサポートいたします。