(株)秀建 編集部
2026.1.19
【事例付き】病院のリノベーションのポイントとは?費用やメリットも解説
病院は長年にわたり利用される施設であり、建物や設備の老朽化は避けて通れない問題です。
老朽化したままでは患者様に十分な安心感を与えられず、スタッフにとっても働きづらい環境になりかねません。
そこで注目されるのが病院のリノベーションです。
本記事では、病院をリノベーションする際に意識すべきポイントやメリット、費用感などを詳しく解説します。
このコラムでわかること
● 病院をリノベーションする際には、快適性・動線・バリアフリーなどを意識することが基本のポイント
● 実際の病院をリノベーションした事例を参考にすることで、イメージが湧きやすくなる
●病院のリノベーションの失敗を防ぐには、スタッフの意見を取り入れたり、実績のある業者に依頼することが大切
病院をリノベーションする際に意識したいポイント

病院のリノベーションを成功させるには、次のようなポイントを意識しましょう。
- リノベーションの目的を明確化する
- 患者様視点での快適性を考える
- 医療スタッフの働きやすさを意識する
- バリアフリー・ユニバーサルデザインを取り入れる
- 将来の柔軟性を確保する
以下からは、それぞれ詳しく解説します。
リノベーションの目的を明確化する
まずはリノベーションの目的を明確にしましょう。
老朽化への対応、診療機能の強化、バリアフリー化、感染症対策など、病院の抱える課題やニーズは多岐にわたります。
経営者は患者様やスタッフからの意見を取り入れて現状の問題点を洗い出し、どの部分をなぜ改修するのかをはっきりさせましょう。
患者様やスタッフからの意見も取り入れることで改修箇所の優先順位が見えてきて、無駄のない計画を立てることができます。
目的があやふやなまま進めてしまうと、不要な工事にコストをかけてしまう恐れもあるため注意が必要です。
患者様視点での快適性を考える
患者様が安心して通える病院にするため、患者様の視点に立った快適な環境づくりが欠かせません。
院内の動線は初めて訪れる患者様でも迷わず目的の場所にたどり着けるよう分かりやすく計画しましょう。
案内板やサインは、子どもや高齢の方でも一目で理解できるピクトグラムを活用するなどの工夫が必要です。
待合室は患者様が過ごす時間が長いため、十分な広さと座り心地の良い椅子を配置したり、雑誌やウォーターサーバーを設置したりするなど、リラックスできる空間演出が大切です。
照明も明るすぎず温かみのある色調に調整することで、緊張感を和らげ安心感を与えられます。
医療スタッフの働きやすさを意識する
質の高い診療を提供するには、スタッフが働きやすい環境を整えることも不可欠です。
たとえば、ナースステーションや診察室、検査室など、スタッフ動線を最適化することで、無駄な移動を減らせます。
また、スタッフがストレスなく働ければ診療の質も向上し、患者様へのサービス改善にもつながります。
さらに、休憩室や更衣室などバックヤードの使い勝手も考慮し、スタッフのモチベーション維持・離職防止につながる職場環境を目指しましょう。
バリアフリー・ユニバーサルデザインを取り入れる
患者様の年齢層や身体の状況は実に多様です。
誰にとっても利用しやすい病院にするため、バリアフリーやユニバーサルデザインの視点を取り入れましょう。
たとえば、車椅子や歩行補助器を使う方でも移動しやすいよう、廊下や出入口は広めの幅を確保し、院内の段差はスロープ設置や床面のかさ上げで極力なくすことが重要です。
エレベーターの設置や車椅子対応トイレの整備も高齢者や障がいのある患者様への配慮となります。
さらに、案内表示は日本語と英語の二言語を基本にピクトグラムを効果的に併用し、必要に応じて中国語・韓国語など多言語表記を追加することが望ましいとされています。
視覚的に直感で理解できるピクトグラムは言語に関係なく情報を伝達できるため、外国人患者や視覚障がい者にもわかりやすい案内が可能です。
こうしたバリアフリー・ユニバーサルデザインへの配慮は患者様一人ひとりの利便性を高めるだけでなく、「誰でも安心して利用できる病院」として地域から信頼される病院づくりにつながります。
将来の柔軟性を確保する
医療技術の進歩や地域ニーズの変化に対応するためには、病院施設が長期的に柔軟性を持てるよう備えておくことが重要です。
たとえば、今後の患者数の増減に応じて病床数や診療科の構成を調整できるようにしておくと、無理なく変化に対応できます。
また、電子カルテや遠隔診療などICTを活用した医療サービスが普及しているため、それらを導入しやすい環境をあらかじめ整えておくことも欠かせません。
こうした準備により、医療DX(デジタルトランスフォーメーション)の流れに対応しやすくなります。
柔軟性を意識したリノベーションを行うことで、長期的に使いやすく、時代のニーズに合った病院環境を維持できるのです。
病院をリノベーションするメリット

病院のリノベーションには、以下のようなメリットがあります。
- 収益の向上が期待できる
- スタッフが働きやすくなり、仕事がスムーズに進みやすくなる
- より安全で、時代の変化に対応できる病院になる
3つのメリットを見ていきましょう。
収益の向上が期待できる
院内が清潔で快適な空間になると、患者様からの信頼感が高まり、「この病院に通いたい」と選ばれる存在になります。
その結果、新規の患者様が増えるだけでなくリピーターの定着にもつながり、経営面での収益性向上が期待できます。
リノベーションによって「明るく気持ちの良い病院になった」「設備が新しく安心できる」といった評判が広がれば、地域医療の中で競争力を高め経営の安定化につながるでしょう。
スタッフが働きやすくなり、仕事がスムーズに進みやすくなる
リノベーションによって動線を見直し、設備を充実させることで、スタッフの無駄な移動や作業を減らし、業務効率を高めることができます。
スタッフが円滑に業務を行える環境を整えれば、ストレスの軽減や仕事の質の向上も期待できます。
また、働きやすい職場環境はスタッフの離職防止にも直結します。
慢性的な人手不足に悩む医療業界において、人材の定着は病院を経営する上で重要な課題です。
リノベーションでスタッフ満足度が高まれば、安定した人員体制を確保しやすくなり、組織力の維持・向上につながるでしょう。
より安全で、時代の変化に対応できる病院になる
リノベーションを通じて耐震補強や老朽設備の更新、最新医療機器の導入などを行えば、災害や感染症に強い安全な病院環境を実現できます。
建物自体の耐震性向上はもちろん、壁材・床材の難燃化や非常用電源の強化など安全対策に抜かりなく取り組みましょう。
また、院内感染対策として抗菌素材の導入や自動扉・非接触型の水栓・タッチレス式のサイネージを採用することも有効です。
換気設備の増強や空気清浄機能の強化により、空気中のウイルスや微粒子を除去しやすくする取り組みも大切です。
さらに、オンライン診療システムや電子カルテなどICTを活用できる環境を整備しておけば、遠隔医療やデータ連携など次世代の医療ニーズにも柔軟に対応できる病院となります。
リノベーションによって安全性と先進性を両立させることで、患者・地域にとってより頼れる存在となるでしょう。
病院をリノベーションする際の費用

病院リノベーションの費用は、小規模な内装工事のみの場合と、医療設備の更新や耐震補強・増改築を伴う場合とでは、必要な工事費は大きく変わってきます。
一般に、老朽化が進んだ大型病院を全面改修する場合は工期も長期化し、設備投資も多額になりやすいです。
ただし、新築で病院を建て替えるよりはリノベーションの方が費用を抑えられるケースも少なくありません。
既存の構造躯体を活かしつつ必要な部分だけ改修できるため、解体や新築工事に比べてコストを低減できる可能性があります。
また、国や自治体による補助金・助成金を活用できれば経営側の負担をさらに軽減できます。
病院ごとに利用できる補助制度は異なるため、計画段階で情報収集し賢く活用しましょう。
病院のリノベーション事例
実際に病院リノベーションを成功させた事例を紹介します。
- 母と子に寄り添う、安心と信頼の空間づくり事例
- 木目と柔らかな色彩で親しみやすさ・快適さを追求した事例
- 機能性とデザイン性を両立した事例
それぞれ見ていきましょう。
母と子に寄り添う、安心と信頼の空間づくり事例

千葉市にある産婦人科「みやけウィメンズクリニック」のリノベーション事例です。
開業25周年を迎えた同クリニックでは、これから先の10年・20年も地域の母子医療を支えるため「今風で明るい雰囲気」に改装することを計画しました。
空間コンセプトは「母として信頼できる場所、女性として安心できる場所」です。
妊娠・出産でデリケートになっているお母さんの気持ちに寄り添えるよう、内装の色使いは柔らかく優しいトーンでまとめられています。
同院では分娩を含む診療を続けながら改修を行う必要があったため、病棟や手術室などを3期に分け約2年かけて段階的に工事を実施しています。
医療施設の施工実績が豊富な秀建ならではの提案で、患者様の動線や運用に支障をきたさないよう細やかな工事計画が組まれました。
リニューアル後は院内が以前にも増して明るく快適になり、機能面も向上しています。
スタッフからは「照明計画のおかげで非常に明るい雰囲気になり、作業効率も上がった」と好評で、患者様にも落ち着ける空間として信頼を得ています。
木目と柔らかな色彩で親しみやすさ・快適さを追求した事例

東京都北区の「白報会王子病院」におけるリノベーション事例です。
1950年開院の歴史ある総合病院で、設備の老朽化に伴い内装も一新したいとの要望からプロジェクトがスタートしました。
デザインコンセプトは「地域の方が親しみやすくリラックスして利用できる空間」です。
内装には明るく穏やかな木目調の仕上げと柔らかな色彩を取り入れ、自然の温もりが感じられる明るく安心感のある空間に仕上げました。
各フロアごとにアクセントカラーを変えており、患者様が視覚的に目的の診療科や場所を認識しやすくなっています。
リノベーション工事はワンフロアずつ段階的に進められ、病院の通常診療を維持しながら安全に配慮して施工が行われました。
木のぬくもりを感じる優しいデザインと機能性の両立により、「明るく快適で居心地が良い」と地域からも評判の病院へと生まれ変わった事例です。
機能性とデザイン性を両立した事例

千葉県松戸市の「総合クリニックドクターランド松戸」でのリノベーション事例です。
内科・整形外科・皮膚科など複数の診療科を提供するクリニックで、今回の改修では1階に小児科と美容皮膚科を新設する計画でした。
従来の落ち着いた内装から一新し、ナチュラルな木目を取り入れた明るく清潔感のある空間を目指しています。
待合スペースや処置室、診察室には十分な広さを確保し、患者様に安心して来院いただけるゆとりある動線設計としました。
また、各所に曲線を用いたデザインを取り入れることで、空間に柔らかさを与え圧迫感を軽減し、リラックスできる雰囲気を演出しています。
レイアウト検討では、スタッフ動線と患者動線が交差しないよう何度も調整が重ねられました。
処置室を核に配置し、スタッフは短い動線で各室にアクセスできる一方、患者様同士が混在しない導線を実現しています。
さらに、前テナント(物販店)の既存設備に制約があった給排水計画も工夫しました。
わずかな段差も生じないよう壁厚を調整するなどしてバリアフリー性を確保しつつ、機能面の要望を満たしています。
デザイン性と機能性を高い次元で両立させたクリニックとして、患者様・スタッフ双方から使いやすいと評価された事例です。
病院のリノベーションの失敗を防ぐには?

病院のリノベーションに向けた計画や進め方を誤ると、「思ったような効果が出ない」「工事中にトラブルが発生して診療に支障が出た」など失敗につながる可能性もあります。
次の点に留意して失敗を防ぎましょう。
- スタッフの意見を取り入れる
- 診療への影響を最小限に抑える
- 病院のリノベーション実績のある業者に依頼する
それぞれ解説します。
スタッフの意見を取り入れる
リノベーション計画を立てる際には、現場スタッフの声を積極的に取り入れることが重要です。
実際に日常業務を行う看護師や技師、事務職員などから「ここが使いにくい」「こう改善して欲しい」といった意見をヒアリングし、反映させましょう。
現場を知らないまま机上のプランだけで進めてしまうと、後から「こんなはずでは」とトラブルになる原因になりかねません。
スタッフにとって使いやすい動線やレイアウトになっているかを現場目線で確認する姿勢が大切です。
リノベーションを「皆で作り上げるプロジェクト」と捉え、スタッフ参加型で進めることこそ成功の近道となります。
診療への影響を最小限に抑える
リノベーション工事中も可能な限り診療への影響を出さない工夫が必要です。
病院を休診にせず工事を進める場合、患者様に迷惑をかけないよう工程を細かく調整しましょう。
たとえば、騒音や振動の大きい工事は夜間や休診日に行う、工事エリアを仮囲いや防音シートでしっかり遮断するといった対策です。
また、患者様の予約状況に合わせてリフォーム工程を調整し、待ち時間を最小限に抑える配慮も重要です。
工事の進捗や診療への影響については事前に患者様へ周知し、理解と協力をお願いしておくと安心です。
大規模な改修では、一時的に外来診療や病棟機能を他施設へ移転させるケースもあります。
いずれにせよ、患者様の安全と信頼を損なわないよう診療継続計画(BCP)をしっかり立て、関係者と綿密に連携しながら工事を進めましょう。
病院のリノベーション実績のある業者に依頼する
リノベーションを依頼する業者選びも、失敗を防ぐ重要なポイントです。
一般的な建築会社で実績が少ない場合、医療施設特有の設備要件や法規制への対応に不慣れなことがあります。
病院リノベーションの経験が豊富な業者であれば、医療法や消防法などの規制を踏まえた設計施工はもちろん、診療を続けながらの工事進行ノウハウも持っています。
業者選定時には過去の医療施設プロジェクト事例や医療機関からの評価を確認し、「安心して任せられるパートナーか」を見極めましょう。
適切な業者と組むことで、リノベーションプロジェクトを円滑かつ安全に成功へ導くことができます。
病院のリノベーションを検討する際によくある質問

病院のリノベーションにあたり、よくいただく質問などをいくつか紹介します。
- 病院をリノベーションする際に使える補助金は?
- 病院をリノベーションする際の期間はどのくらい?
それぞれ解説します。
病院をリノベーションする際に使える補助金は?
国や自治体には病院の建て替え・改修を支援する補助金制度がいくつかあります。
たとえば、2025年10月時点では、医療提供体制の強化を目的とした「医療提供体制施設整備交付金」や、老朽化対策としての「医療施設近代化施設整備事業」などがあります。
具体的な要件は制度によって異なりますが、耐震改修やバリアフリー改修、医療機器の導入など一定の条件を満たせば補助金交付の対象となり得ます。
また各都道府県や市区町村でも、地域医療体制維持のための助成金が用意されている場合があります。
補助金は申請期間や予算枠が限られているため、リノベーション計画の初期段階で担当部門(自治体の医療主管課など)に問い合わせ、利用できる制度がないか情報収集しておきましょう。
病院をリノベーションする際の期間はどのくらい?
工事の期間は病院の規模や改修内容によって大きく変わります。
外来の一部改装や内装の模様替え程度であれば数週間~数か月程度で完了するケースもありますが、耐震補強を含むような大規模改修では半年から1年以上かかることも珍しくありません。
特に病院の診療を続けながら段階的に工事を進める場合、一度にできる工事範囲が限られるため工期はどうしても長くなりがちです。
患者様への影響を最小限に抑えるため、夜間・休診日施工やエリア分割施工で対応するケースが多いためです。
したがって、具体的な期間は一概に言えませんが、小規模改修なら数か月、大規模な全面改修なら1~2年程度を目安に計画しておくと良いでしょう。
工期中の診療計画も練り、必要に応じて仮設診療所の設置や近隣病院との連携など対策を講じることも検討してください。
病院のリノベーションなら秀建まで

病院のリノベーションは一般的な建築工事とは異なり、医療施設特有の専門知識と豊富な経験が求められます。
私たち秀建は、これまで数多くの病院・クリニックの設計施工を手がけてきました。
施工実績の豊富さが評価され、実際に「医療施設の施工実績が多数あったこと」が弊社にご依頼いただく決め手になったケースもございます。
患者様の安心とスタッフの働きやすさを両立させた空間づくりを追求し、デザイン面と機能面の両方から最適なリノベーションプランをご提案いたします。
また、設計・施工・アフターフォローまですべての工程を自社一貫体制で管理しており、効率的かつ合理的にプロジェクトを進められる点も強みです。
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