保育園開業で考えるべき事故防止と安全管理

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保育園開業で考えるべき事故防止と安全管理

共働き世帯の増加により需要が増えている保育園事業。新規参入のチャンスが大きい業界と言えますが、大切なお子様を預かる以上多くの課題と向き合う必要があります。

中でも事故防止・安全管理は重要度が高く、施設づくりの段階で大きなハードルとなることが多いです。

実際、保育園数とともに事故件数も増加しており、死亡事故がニュースとなり保護者の目や耳に入るケースも少なくありません。このような状況を受け、内閣府や厚生労働省はガイドラインを定めて安全管理の強化を求めています。

今回は保育園で実際に起きている事故の傾向をデータでチェックし、施設側での安全管理について考えてみましょう。

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コラムのポイント

・保育園数の増加と同時に事故件数も増えており、施設づくり段階で安全管理に配慮する必要があります。

・政府が定める事故防止ガイドラインを参考に、建物側で取り組むべき安全管理をチェックしましょう。


 

2021年の保育園事故は増加

保育園外観

内閣府がまとめたデータによると、2021年の保育園・幼稚園・放課後児童クラブなどを含む事故件数は2,347件で、前年比332件と増加しています。

※参照元:内閣府子ども・子育て本部(「令和3年教育・保育施設等における事故報告集計」の公表について)

 

死亡事故は5件で、2件が認可保育所、3件が認可外の保育施設で発生しています。

それ以外にも骨折・やけどなどの重大事故件数が前年より増加しており、内閣府は保育施設が増えたことが一つの原因と考えているようです。

こうしたニュースは保護者の関心が高く、事故防止や安全管理への取り組みは保育園選びの重要な要素の一つとなっています。

園児を危険から守ることが大前提ですが、保護者の方に安心して選んでもらうためにも施設の事故防止・安全管理は大切な取り組みとなります。

 

保育園事故の発生状況

保育園の室内

まずは保育園事故の発生状況や傾向について、前述した内閣府のデータを具体的に見ていきましょう。

 

施設内

施設外

不明

室内

室外

861(3)

1245(1)

240(1)

1

※()内の数字は死亡事故

事故発生場所は保育園の施設内が多く、室内の件数は約4割となっています。ただし死亡事故は室内が3件と多いため、建物側の安全管理も非常に重要と言えそうです。

 

意識不明

骨折

火傷

その他

14

1,888

10

430

 

死亡事故以外の内訳としては骨折が1,888件で最も多く、前年比228件と増加率も高いです。

具体的な内容は後述しますが、ドアに指を挟む、濡れた床で滑って転ぶなど、骨折の原因となることが多い場所の安全管理が求められます。

 

0歳

7(1)

1歳

82(2)

2歳

170(1)

3歳

266(0)

4歳

441(0)

5歳

611(1)

6歳

295(0)

 

事故発生時の年齢は5歳が最も多く、0歳から徐々に件数が増えていく傾向があります。物心がつきいろいろな物事に興味を持ち始めると、事故のリスクも高くなるようです。

事故防止・安全管理はすべての園児を対象に考えるのはもちろんですが、ある程度傾向を知っておくと対策を考える際に役立つかもしれません。

 

 

保育園の安全管理ガイドライン

続いて、内閣府が定める「教育・保育施設等における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン」から、施設側の安全管理ポイントをいくつかピックアップしてみましょう。

 

出入り口

安全管理が求められる保育園の引き戸

ドアや引き戸のある出入り口は保育園の中でも園児がケガをしやすい場所であり、ガイドラインにも次のように記載されています。

・ドアの開閉に気をつける。開閉の際は子どもがドアに手や身体をつけていないか、戸袋付近にいないかを注意確認する。

実際に認可外保育園で、1歳の園児が収納スペースの引き戸に指を挟んで切断しかけるという重大な事故が発生しています。

参照元:千葉日報 指挟まれけが 女児父が告訴 市川の認可外保育園で

この事故では、ほかの園児が引き戸を開閉した際に指が巻き込まれているため、保育士が注意していても防ぎきれなかった可能性があります。

指挟み対策をした引き戸やドアを採用するなど、建物側の工夫・事故対策が必要になるポイントと言えるでしょう。

 

壁面

事故防止した保育園の壁面

保育室や廊下の壁面も事故の原因となることがあり、ガイドラインでは次のように記載されています。

・釘や鋭利な突起物が残っていないか、落下の危険はないか確認する。

釘はもちろん、壁面に鋭利な部分が残っていれば、園児が触れて重大な事故につながる恐れがあります。

例えば壁面に固定した金属製のタオル掛けが、園児の目に刺さる重大な事故が発生しています。

参照元:日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会

タオル掛けは園児の手が届く場所に設置する必要があるため、万が一転倒した際にケガをしない形状などにする必要があるでしょう。

 

コンセント

コンセントカバーで安全対策

室内のコンセントは園児の感電事故につながる恐れがあるため、ガイドラインで次のように記載されています。

・子どもの手が届く高さにあるコンセントには、コンセントカバーをつける、または家具で隠す等配慮する。

実際コンセントにヘアピンなどを差し込んで感電した事故の情報が、消費者庁国民生活センターにも報告されています。

参照:消費者庁 Vol.568 コンセントでの感電事故に注意!

ガイドラインで示されているように、コンセントカバーで対策するのも効果的ですが、器用なお子様なら自力でカバーを外してしまう可能性もあるでしょう。

施設づくりの段階でコンセントを手が届かない高い位置に配置するなど、確実に事故を防ぐ取り組みが必要です。

 

床面

滑りにくい素材の保育園床

転倒事故の原因となる床面も、建物側の安全対策が求められる場所です。

・水濡れ等滑って転ぶ危険がないか、汚れていないかを確認し清潔を保つ。

ガイドラインでは上記のように運用面の安全対策が記載されていますが、飲み物や絵の具の水などが床にこぼれてしまうなどのシーンは考えられます。

一般的なワックス仕上げのフローリングでは、水がこぼれた際に滑って転倒する可能性が高くなります。滑り防止加工をしたフローリングや無垢材など、濡れても転倒リスクが少ない床材を使う必要があるでしょう。

また万が一転倒してしまったときのことを考え、クッション性の高い床材を使用するのも事故防止につながります。

 

保育園のノウハウを持つ専門家に相談する

保育園に詳しい施工会社との打ち合わせ

ここまで紹介したように、保育園づくりではさまざまな事故防止・安全管理のポイントが存在します。しかし初めて保育園づくりを考える場合、どこに気を付ければ良いのか、誰に相談すべきなのか分かりませんよね。

このようなケースでは、保育園開業サポート専門のコンサルティング会社、遊具メーカーなどに相談する方が多いです。専門性の高い会社なら、安全管理や事故防止についても的確なアドバイスが期待できるでしょう。ただし開園コンサルは数百万円単位の費用が掛かりますし、遊具メーカーも契約前提でないと相談しにくいかもしれません。

またもう一つの選択肢として、保育園施工実績の多い施工会社に相談するのもおすすめです。実際に保育園をつくったことがある施工会社なら、使用すべき建材や仕上げ方法、手続きや検査時の対応など細かい部分まで疑問に答えられるはずです。

 

秀建のオフィス外観

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監修者情報

(株)秀建 編集部

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