ホテル建築・内装工事に関わる法律は?旅館業法・建築基準法・消防法・都市計画法

宿泊施設

ホテル建築・内装工事に関わる法律は?旅館業法・建築基準法・消防法・都市計画法

多くの宿泊客が利用するホテルは、新築・リノベーションどちらの場合でもさまざまな法律が関係します。

物件や土地選び・内装施工・開業手続きなどホテル開業の大部分に影響するため、関係する法律は把握しておく必要があります。法律の内容をすべて覚える必要はありませんが、おおまかな概要や注意点を把握しておくことで、物件選びや経営計画づくりに役立つでしょう。

今回は、ホテルの建築や内装工事に関わる4つの法律について、概要や注意点を分かりやすく解説していきます。

 


コラムのポイント

  • 関連法規についてのチェックを怠ると、計画の変更や中止による大きな損害が発生する可能性があります。
  • ホテルの内装・レイアウト・物件選びに影響する法律を一つずつ解説します。
  • 旅館業法・消防法などの立入検査では、現場ごとに判断が異なるケースもあり、事前協議が必須となります。

 

旅館業法

旅館業法の対象になるホテルの客室

ホテルは旅館業法で規定されており、一定の基準を満たして営業許可を受ける必要があります。

 

客室の床面積

1客室につき7㎡以上(ベッドを置く場合は9㎡以上)

客室の基準

・窓からの採光が十分に得られること。(無窓客室は不可)

・清掃が容易に行える構造であること。

玄関帳場等

・事故の発生その他の緊急時に迅速な対応を可能とする設備を備える。

・宿泊者名簿の正確な記載、客室の鍵の適切な受け渡し及び宿泊者以外の出入り状況の確認ができる設備を備える。

浴室

入浴設備を有すること(近隣の公衆浴場など入浴に支障がない場合を除く)

出典:東京都西多摩保健所

上記はあくまで一部ですが、ホテルの営業許可を受けるためには、さまざまな基準を満たす必要があります。ほかにも、トイレ・ロビー・エレベーター・館内表示など、基準はさまざま。申請窓口は所轄の保健所となり、立入検査で基準を満たしていることが確認されたのちに営業許可を受けることができます。

基本的には旅館業法の規定に基づいて判断されますが、検査する保健所の担当官によって現場で判断が異なることもあるので要注意。ホテルの新築・リノベーションどちらの場合でも、施工会社・保健所を交えた事前相談が必須となります。

 

建築基準法

建築基準法の対象になるホテルのロビー

「特殊建築物」に分類されるホテルは、建築基準法にも対応が必要となります。特殊建築物は不特定多数の人が利用するため、一般的な建築物とは区別して、より厳しい制限がかけられているため注意が必要です。

例えば、3階建て以上のホテルは「耐火建築物」として建材や構造の基準が設けられています。耐火建築物は一定時間延焼や倒壊を防ぐために、火災に強い建材や構造が求められます。一般建築物よりコストが多くかかり、使用する内装材やデザインに制限がでることも。

また、一定の床面積や階数を超えるホテルは、廊下や階段の幅、避難階段の設置といった規定が設けられています。

参照:国土交通省 ホテル・旅館に係る防火・避難規定

また、元々宿泊施設ではない建物をホテルとしてリノベーションする場合、用途変更の建築確認申請手続きが必要です。ホテルとして建てられていないため、前述したような基準に対応する必要もあります。また、建てた後に法律が変わったことで「既存不適格」となっている建物は、用途変更時に遡及対応(さかのぼって対応すること)が求められるケースも。

さらに、建築時に発行される検査済証を紛失している建物の場合、再発行に手間がかかったり許可されなかったりする可能性もあります。ホテルを新築する場合はもちろんですが、古い建物をリノベーションする際は特に念入りに事前確認・相談する必要があるでしょう。

 

消防法

消防法の対象になるホテルの客室

ホテルは火災や地震に対応し宿泊客の安全を守るために、消防法によって一定の基準が設けられています。

まず、消火設備・警報設備・避難設備など、ホテルの延床面積や収容人数によって必要な設備が定められています。規模の小さいホテルは消火器や消火栓のみで済むケースもありますが、延床面積が広くなるとスプリンクラーの設置が必要になることも。

また、従業員と収容人数が30人以上のホテルは、防火管理者の選任や消防計画の作成などが必要です。さらに収容人数300人以上のホテルは防火対象物に分類され、有資格者による点検・報告が義務付けられています。

このような消防法の基準を満たし、所轄の消防署の立入検査の後に「消防法適合通知書」が発行され、営業許可を受けることができます。消防署の立入検査も現場ごとに判断が異なるケースが多く、やはり事前協議は欠かせません。

 

都市計画法

ホテルの建築予定地と都市計画法

ホテルは都市計画法の対象にもなり、建てられる場所が決められているため注意が必要です。例えば用途地域によっては、ホテルの建築や開業が許可されないケースもあるのです。

 

※ホテル開業できない用途地域

  • 第一種低層住居専用地域
  • 第二種低層住居専用地域
  • 第一種中高層住居専用地域
  • 第二種中高層住居専用地域
  • 工業地域
  • 工業専用地域

 

※ホテル開業できる可能性がある用途地域

  • 第一種住居地域
  • 第二種住居地域
  • 準住居地域
  • 近隣商業地域
  • 商業地域
  • 準工業地域
  • 用途地域未指定

 

住居専用地域や工業地域など、一部の用途地域にはホテルを建築・リノベーションすることはできません。また、ほかの用途地域も、状況によってはホテル開業が許可されないケースもあるので注意が必要です。

例えば、周辺100メートル以内に学校や公共施設・福祉施設などがあると、ホテル営業が許可されない可能性があります。仮に用途地域や特殊な条件を見逃してしまうと、計画中止になり大きな損害を負うことも考えられます。逆に、建築が規制されている市街化調整区域でも、観光資源になり得るホテルと判断されれば許可されるケースも。

ホテルを新築するための土地や、リノベーションする建物を選ぶ際は、都市計画法に基づく営業可否までチェックする必要があるのです。

 

まとめ:ホテル建築・内装工事は事前協議が重要

法律の基準を満たしたホテル

今回ご紹介したように、ホテル建築や内装工事はさまざまな法律の対象となり、基準を満たさないと営業許可を受けることができません。土地や建物、設計契約を結んだ後に保健所や消防署からの指摘を受けると、計画が大きく狂ってしまうリスクがあります。スムーズかつ確実にホテルを開業するためには、ホテル施工のノウハウが豊富な会社を交えた事前協議が必須です。

前述したようにホテルに関する法規制や基準は、管轄する自治体や立入検査の担当官によって判断が異なるケースも多いです。突発的な計画変更を防ぐためには、綿密な事前協議が欠かせません。そのためには、現場レベルのノウハウが豊富な施工会社を交えて、漏れのない打ち合わせをする必要があるのです。なるべく早い段階で技術力と信頼性の高い施工会社を見つけて、物件選びや内装工事について相談しながら進めましょう。

 

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監修者情報

(株)秀建 編集部

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