ジム開業の物件探しポイント|建物・立地・条件を詳しく解説

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ジム開業の物件探しポイント|建物・立地・条件を詳しく解説

健康ブームを背景に、フィットネス・スポーツジム業界はここ数年右肩上がりの状況が続いています。

パーソナルジムや女性向けジムなどニーズも多様化していてチャンスは大きいですが、物件探しが大きなハードルになるケースが多いです。

今回は初めてジム開業をされる方の物件探しで考えるべきポイントを、建物・立地・条件それぞれ掘り下げます。

 


コラムのポイント

・ジム開業物件は建物側の構造、立地や営業条件などクリアすべき課題が複数あります。

・具体的に物件探しに取り組む前に決めるべき内容も把握しておきましょう。


 

ジム開業は物件探しが重要

フィットネスジムのトレーニングマシン

業態や規模にもよりますが、利用者が室内で運動するジムは物件探しのハードルが高いです。

ジムで使う器具は重量があるため、物件の耐荷重がクリアできないケースも少なくありません。またダンベルやランニングマシンなどの器具は振動と騒音が出るため、周囲からクレームが入る可能性があります。物件によっては、オーナーの許可が得られないケースもあるでしょう。

また建物側のハードルだけでなく、安定集客するための立地条件も重要になります。仕事帰りのストレス発散、家事の合間に体力づくりなど、コンセプトに合ったユーザーが多い立地環境を選ばなければいけません。冒頭でお伝えしたようにジム業界は活況なため、競合の状況も考慮する必要があります。

このようにジム開業の物件探しの課題は多いですが、一つずつクリアしていくことが安定した集客・経営につながります。

 

ジム物件探しの前に決めるべきこと

ジムの経営方針によって物件の条件は変わってきます。具体的に物件探しを始める前に、次の内容を決めておきましょう。

 

業態と規模

多くの器具が並ぶフィットネスジム

まず決めるべきなのは、物件の広さや立地などすべての要素に影響するジムの業態と規模です。

ジムの業態はさまざまなバリエーションに派生しています。

  • フィットネスジム
  • パーソナルジム
  • 無人ジム

セルフトレーニングがメインのフィットネスジムは、ある程度の器具やスペースが必要になります。最近増えているマンツーマン制のパーソナルジムは、比較的小さな物件でも開業しやすいでしょう。

スタッフを置かない完全無人ジムの場合は、解錠システムなどに対応できる建物を選ぶ必要があります。

 

コンセプトとターゲット

女性客がターゲットのホットヨガジム

ジムのコンセプトとメインターゲットは、物件の立地条件に大きく関係するポイントです。

最近は体力づくり・ボディメイク・健康維持などジムのニーズも多様化しているため、コンセプトを明確にしてから物件探しに取り組みましょう。

例えば仕事帰りのストレス発散がコンセプトのジムなら、駅前やオフィス街などの立地が望ましいです。

家事の合間に運動不足解消をしたい女性ユーザーをメインに考えるなら、住宅地やスーパーマーケットの近くなどが有力です。

ジム業界はネームバリューのある大手が多いため、明確なコンセプトを定めて差別化しないと安定集客は難しいでしょう。

 

営業時間

ジムの営業時間も物件探しに影響を与えるポイントです。テナントビルでは営業時間が決められていることも珍しくありません。仮に24時間営業のジムを作りたくても、営業時間が決められているテナントビルだと開業できないのです。

営業時間は業態・コンセプトとの兼ね合いも重要です。仕事帰りユーザーがメインなら深夜営業が必須ですし、主婦層メインなら午後~夕方が主要時間帯になるでしょう。

 

価格設定と売上

ジムの利用料金と売上目標も、物件の広さや賃料などを決める際の重要な指標になります。

ジムの売り上げは会員数と利用料金で決まります。24時間営業の最大手フィットネスジムを参考にすると、国内店舗数約1,000・会員約70万人で、平均すると一店舗あたり700人です。目指すジムの規模に合わせて想定ユーザー数を設定し、利用料金を掛けると大まかな売り上げが予測できます。

前述したコンセプト・ターゲットユーザー、競合状況などを踏まえて適切な利用料金を設定しましょう。

参照:エニタイムフィットネス会員数70万人突破のお知らせ

 

機材の数や種類

機材が並ぶスポーツジム

ジムに設置する機材の数や種類は、物件探しにおいて耐荷重や床面積などに影響します。

マンツーマンのパーソナルジムなら機材が比較的少ないため、物件探しのハードルは低くなります。

無人店舗やセルフトレーニング中心のフィットネスジムの場合は、ある程度機材をそろえる必要があるため広めで丈夫につくられた物件が必要になるでしょう。

 

シャワーの有無

フィットネスジムのシャワールーム

利用後に汗を流すシャワーの有無も、物件選び前に決めておくべき要素の一つです。

フィットネスジムと言えばシャワー付きの印象が強いですが、最近はシャワー設備のないリーズナブルな料金設定のジムも増えています。

家から近いジムなら帰ってからシャワーを浴びたいユーザーも多く、利用料金が安い方がメリットは大きいでしょう。

逆にオフィス街にジムを構える場合、利用後にシャワーで汗を流してから帰りたいユーザーの方が多いかもしれません。

シャワー設備の有無で給排水など物件選びのハードルが変わるため、あらかじめ決めておきましょう。

 

ジム開業の物件探しポイント【建物編】

フィットネスジムのロッカールーム

 

防音性や周囲の環境

足音や器具の作動音、音楽やインストラクターの掛け声など、さまざまな音が出るジムでは建物の防音性は重要なポイントです。

鉄筋コンクリート造のテナントビルは比較的防音性が高めですが、隣接する部屋の状況によっては騒音がクレームになるケースも少なくありません。

建物の状況によって騒音対策にも限界がありますので、周囲の状況も踏まえて物件をチェックしましょう。

 

耐荷重

スポーツジムのトレーニングマシン

ケーブルマシンなど重量のあるトレーニングマシンを設置することもあるジム物件では、建物の耐荷重も重要チェックポイントです。

建築基準法では建物の積載荷重について、1平方メートルあたり最小数値で次のように規定しています。

 

部屋の種類

床設計用の積載荷重

住宅

1800N/㎡

事務室

2900N/㎡

百貨店または店舗の売場

2900N/㎡

仮に事務室として作られたテナント物件の場合、1平方メートルあたり290kgの積載荷重が下限です。本格的なジムを作る場合1台で500㎏近いマシンが必要になるケースもあり、物件によっては耐荷重が不足する可能性も考えられます。

トレーニング器具の数や配置もシミュレーションして、耐荷重をクリアできる物件を選んでください。

 

換気

建築基準法では業種ごとに必要換気量の基準を定めているため、物件の換気性能も要チェックポイント。

また人が多いピークタイムでも気持ちよく利用できるよう、基準をクリアするだけでなく快適な空気環境を整えられるかも重要になります。

テナント物件は換気設備や窓の配置はビルによって決まるため、空気環境まで考えてチェックしましょう。

 

必要床面積

事前に設定した売上に応じた会員数から、必要な床面積を確保することも重要です。

いつ行ってもトレーニング器具が空いていないようでは、せっかく集客しても会員継続してもらうのは難しいでしょう。

ピークタイムに何人ぐらいの利用があるのか想定し、対応できる器具やスペースを確保できる物件を選んでください。

 

夜間・無人営業への対応

24時間営業や無人ジムを考える場合、建物側の夜間・無人営業対応もチェックする必要があります。

ジムの無人営業はスマートロックなどで入退場を管理するため、対応できる出入り口のレイアウトやドアの構造でないといけません。またビル側のレイアウトや管理体制で、夜間の出入りができない物件も避ける必要があります。

そもそも無人営業して問題ない物件なのか、オーナー側に確認を取る必要もあるでしょう。

 

 

ジム開業の物件探しポイント【立地・条件編】

スポーツジムの立地条件

建物の構造だけでなく、ジム物件は安定して集客・営業するための立地や条件も重要なポイントになります。

 

ターゲットユーザーの生活動線

ジム物件の立地環境は、設定したターゲットユーザーの生活動線に合わせて選ぶことが重要です。

ユーザーにとって、継続して通える立地はジム選定ポイントの一つになります。どんなに魅力的な設備やサービスがあっても、生活動線から遠いと会員になってもらうのは難しいでしょう。

仕事帰りなら駅やバス停の近く、買い物のついでなら商業施設や住宅地など、ターゲットユーザーが多い場所を選んでください。

実際に物件の周囲を歩いてみたり、「jSTAT MAP」などの統計情報を活用したりするのもおすすめです。

 

通りすがりの認知しやすさ

ジム探しもスマートフォン検索が当たり前になった現代ですが、通りすがりの認知度は重要な検討ポイントです。生活動線上で毎日見かける場所にジムがあれば、何かのきっかけで会員になってもらえるチャンスは大きくなります。

通りからの認知度は、路面店・ビルイン・ロードサイドなど物件の種類によって変化します。ただし路面店など認知しやすい物件は賃料も高くなるため、バランス感が重要になるでしょう。

 

競合状況

どの業種においても重要な競合状況の調査は、ジム物件探しでも特に力を入れるべきポイントです。

近年はフィットネス・パーソナルどちらのジムも数が増えており、狙い目のエリアには複数の競合店が建ち並ぶケースも多いです。

検討物件にどんな競合店があるのかくまなく調査し、料金・設備・サービス内容などもリストアップしましょう。前述したジムのコンセプトも踏まえ、同じような競合が居ないエリアの物件を選んでください。

 

家賃

ジムのランニングコストの中でも家賃は大きいウエイトを占める要素ですから、売上とのバランスをしっかり検討する必要があります。

固定費である家賃は後から下げることができないため、高すぎると売上が落ちたとき経営を圧迫します。しかし家賃を重視しすぎて、立地が悪い物件で開業しても安定した集客は難しいでしょう。

立地環境・売上・家賃のバランスを考え、無理のない範囲の物件を選んでください。

 

営業時間/曜日

建物側の条件でも紹介しましたが、検討している営業時間に対応できる物件かどうかも要チェックです。

テナント物件によっては営業時間が決められていて、思い通りに営業できないケースも少なくありません。

また定休日が物件に依存するケースも多く、営業できないor休めないパターンも考えられます。

ジムの営業に関する重要な要素なので、必ずチェックして下さい。

 

ジム利用を禁止されていないか?

オーナーの意向でジム利用を禁止されているケースもあるため、内見や申込の前に確認しておきましょう。

耐荷重など建物側の条件をクリアできても、騒音・振動トラブルを嫌ってオーナーがジム利用を禁止しているケースは少なくありません。内見後にジム禁止が発覚すると時間の無駄になるため、あらかじめジム利用が問題ないか確認しましょう。

 

まとめ

フィットネスジムやパーソナルジムの開業では、物件探しが大きなハードルになることが多いです。開業できるかどうかはもちろん、経営の安定性にも関わるためしっかり吟味しましょう。

 

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