基本計画・基本設計と実施設計の違いと流れ|費用や注意点も解説

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基本計画・基本設計と実施設計の違いと流れ|費用や注意点も解説

建物の建築は基本計画と設計によって順次進められていきます。しかし、設計は大きく分けると基本設計・実施設計の2種類があり、それぞれの役割や違いが分かりにくいと感じる方が多いようです。

また、基本計画や設計をどのタイミングで誰に頼むのか、費用がどれくらいかかるのかなど、実務上で疑問に感じることも少なくありません。

そこでこの記事では、基本計画・基本設計・実施設計の内容や違い、見積もりから契約、施工までの流れを詳しく解説します。

設計契約でトラブルに発展しやすい注意点も解説しますので、ぜひ建築・事業計画の前にご一読ください。

 


コラムのポイント

  • ・基本計画・基本設計・実施設計はそれぞれの役割が異なるため、設計契約の前に業務内容を把握することが大切です。
  • ・基本計画の段階でプランを煮詰め、正確な概算費用を把握することがプロジェクトの成功につながります。

 

基本計画・基本設計・実施設計の違い

基本計画の打ち合わせ

まずは、基本計画・基本設計・実施設計の基本的な役割と違いについてチェックしましょう。

それぞれの役割をしっかり把握することで、全体の流れが分かりやすくなるはずです。

 

基本計画

基本計画とは、ラフプランをもとに大まかな概算費用を把握するための業務です。「マスタープラン」と呼ばれることもあります。

1から設計する建築物には定価がなく、規模や仕様、敷地の条件などにより建築費用が変動します。しかし、どれくらいの費用がかかるのか分からないと事業計画を立てられないため、基本計画で大まかな概算費用を把握する必要があるのです。

基本計画では敷地条件や建物規模・コンセプトなどの条件をリストアップし、ラフスケッチや平面図などの資料を作成します。また、建物の用途や業種ごとに関連法令を確認し、保健所・消防署などの窓口への事前相談なども行います。

 

基本設計

基本設計は、見積もりをつくるために必要となる書類を作成する業務です。基本計画をもとに打ち合わせを進め、間取りや電気・給排水・空調など見積もりに必要となる情報を書類にまとめていきます。

 

  • 計画説明書
  • 配置図・平面図・立面図・断面図・矩形図・外構・主要部分の展開図
  • 建築(構造) 構造計画説明書
  • 構造設計説明書
  • 電気設備設計説明書
  • 給排水衛生設備設計概要書
  • 空調換気設備設計概要書
  • 昇降機設備設計概要書
  • 透視図・建築模型
  • 関係法令チェックリスト
  • 工事費概算書
  • 工事計画図・工事工程概要表

参照:基本設計時に必要となる成果物

 

基本設計の書類は業務を担当する設計事務所や物件によって異なりますが、代表的なものだけでも上記のように多岐に渡ります。見積もりを作成するために、建物の設計や建材・設備の仕様などを確定させる必要があるのです。

内容をすべて覚えておく必要はありませんので、ここでは「基本設計=見積もり金額を確定させるためのもの」ということを押さえておきましょう。

 

実施設計

実施設計は、建物の仕様や工事内容を確定させ、発注・着工できるようにするための業務です。詳細設計と呼ばれることもあります。

基本設計はあくまで見積もりをするための業務なので、そのままでは工事を発注できません。実施設計で使用する建材や設備の品番、工事内容など細かい部分まで決めることで、建物の仕様が確定し着工できるようになります。

 

  • 特記仕様書
  • 仕上表
  • 敷地案内図
  • 平面図、立面図、断面図、矩計図、平面詳細図
  • 展開図、部分詳細図、天井伏図
  • 外構図
  • 建具表
  • 構造設計図
  • 電気設備設計図
  • 機械設備設計図
  • 構造図、構造計算書

参照:実施設計業務に係る成果品

 

実施設計では構造・内装・設備など、さまざまな設計図、仕様書を作成して建物の規模や仕様を確定させていきます。実施設計によって最終的な見積もり金額と工事内容が確定し、建築確認申請や着工の手配を進めることになります。

 

基本計画~基本設計~実施設計の流れ

基本設計と実施設計の打ち合わせ

続いて、実際の建築計画における基本計画・基本設計・実施設計の流れを把握しましょう。

全体の流れを把握しておくことで、スムーズな事業計画や建築につながります。

 

基本計画で概算費用を把握する

まずは基本計画でおおまかな建築費用を把握し、プロジェクト自体の実現性を判断して進めて良いか確認します。大幅に予算オーバーする場合プロジェクトを実現できないため、基本設計の段階でなるべく正確な概算費用を把握し、現実的な建物の規模やコンセプトを決めることが重要になります。

基本計画が固まったら、設計事務所と設計契約を結び基本設計と見積もりを進めます。

 

基本計画⇒見積もり

基本計画ができたら、施工会社に見積もりを依頼します。建物の規模にもよりますが、施工見積もりにかかる期間は1週間~1ヶ月前後が目安です。

見積もりが出たら内容と金額の妥当性を精査します。設計事務所が抜け漏れや金額について内容査定をするケースもあります。

見積もりが1回で決まることは少なく、2~3回基本計画を調整して費用を確定させ工事請負契約を交わすことが多いです。

 

実施設計⇒着工手配

実施設計は基本設計と同時進行で進めることが多く、工事請負契約後に打ち合わせを重ねながら建物の仕様を煮詰めていきます。使用する建材の材質や色、細かい寸法などを確定させ、施工会社にすべての工事内容が正確に伝わるようにする必要があります。

実施設計で建物の仕様が確定したら、材料の発注や職人の手配を行い着工へと進みます。

 

設計契約の費用

設計契約にかかる費用

設計業務に対する費用の計算方法は、工事金額に対するパーセンテージ、床面積あたりの単価の2パターンが用いられることが多いです。工事金額や延床面積が大きいほど設計費用も高額になり、2パターンで計算して安い金額で契約を結ぶこともあります。

設計事務所の業務は前述した基本計画・基本設計・実施設計にくわえて、設計監理の4種類です。一般的には設計料に設計監理も含めることが多いですが、業務ごとの費用内訳を明確にしてから契約しましょう。

 

基本計画・基本設計・実施設計の注意点

基本計画の打ち合わせ風景

基本設計・実施設計を進める際は、必ず事前に基本計画でプロジェクトの実現性を確認し、設計契約を結ぶようにしましょう。

例えば、基本計画の精度が低く、見積もりで大きく予算オーバーしてしまった場合、基本設計を大きく変更するか、計画自体を中止せざるを得ません。

基本計画を1からやり直す場合、かかった労務費はプラスで請求されます。計画自体を中止する場合は、その時点までにかかった費用を清算するのが一般的です。

設計契約には、通常業務以外にかかった労務費の計算方法や、計画中止時の清算方法を記載するのが一般的です。もし設計契約を結ばずに基本計画・実施設計を進めてしまうと、請求金額や生産方法でトラブルになる可能性があります。どのような規模の建物でも、必ず契約内容をしっかり確認してから設計契約を結びましょう。

また、このようなトラブルを防ぐためには、基本計画の時点で正確な概算費用を把握することが重要です。概算費用があいまいだと、基本設計や見積もりの段階で大きく計画が狂い、余計な労力とコストがかかります。基本計画の段階からノウハウが豊富な施工会社に相談し、なるべく正確なプランと概算見積もりを把握しましょう。

 

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