ホテルの建設費用はどれくらい?データで見る費用相場と市場動向

宿泊施設

ホテル建設費用はどれくらい?データで見る費用相場と市場動向

新型コロナウイルスによって大きな影響を受けた観光・宿泊業界ですが、2023年は回復の兆しが見え大型ホテルの建築事例も増えています。

参照元:Yahoo!ニュース ホテル建設ラッシュ&にぎわい戻り…“地価公示”熱海がダントツの上昇率+11.7%

今回はホテルの建設費用や開業にかかる費用について、データを基に詳しく解説していきます。2023年の宿泊業界市場動向も、国内外からの観光客のデータをチェックしてみましょう。


コラムのポイント

・2022年のホテル建設費用を木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など構造別に紹介します。

・ホテルの建設と開業にかかる費用を抑える方法も押さえておきましょう。


 

ホテル建設費用はどれくらい?

おしゃれなホテルの建設費用

まずはホテル建設費用について、国土交通省のデータを基に相場をチェックしてみましょう。

構造

建築物の数
(棟)

工事費予定額
(万円)

床面積の合計
(㎡)

1㎡あたり平均工事費(万円)

木造

1,462

3,366,777

151,793

22

鉄骨鉄筋コンクリート造

8

4,927,203

89,242

55

鉄筋コンクリート造

266

18,728,534

418,362

44

鉄骨造  

540

21,946,137

512,484

42

コンクリートブロック造

10

24,130

878

27

その他

88

1,329,140

27,772

47

総計

2,374

50,321,921

1,200,531

41

出典:国土交通省 建築着工統計調査報告(令和4年計分)を基に弊社集計

2022年に着工された宿泊施設の床面積・工事費から、1㎡あたりの平均工事費を算出しました。

最も着工数が多く1㎡あたり工事費が安いのは木造で、1棟あたりの平均床面積は約103㎡、㎡あたりの工事費を掛けると2,266万円です。

次に着工数が多い鉄骨造は、平均床面積が増えて約950㎡、3億9,900万円が平均となっています。続く鉄筋コンクリート造は平均床面積約1,572㎡、平均価格にすると6億9,168万円と、規模の大きいホテルは鉄骨・鉄筋コンクリート造が多くなっています。

これらのデータはあくまで平均ではありますが、ホテル建設費用を予測するときの目安に活用できそうです。

 

ホテル開業にかかる費用

開業したホテルの外観

ホテル開業には前述した建設費用のほかに、次のような費用がかかります。

スタッフ採用教育などの人件費

ホテルスタッフの採用にかかる求人広告費、営業開始までの教育にかかる人件費は、人数や規模によって変動します。

フロント・客室・清掃など、ホテル運営に必要なスタッフは多岐に渡ります。開業時点で半年前後の人件費を確保しておくのが一般的です。

宣伝広告費用

オープンまでにホテルの存在を知ってもらい、集客するための宣伝広告費用も重要な開業費用です。ホームページやパンフレットの制作費や写真撮影、広告媒体への出稿料なども必要になります。またSNSで宿泊先を選ぶユーザーも増えているため、InstagramやLINE公式アカウントなどの運用費も用意しておくべきでしょう。

設備・什器購入費用

客室の家具やベッド、ドライヤーやアメニティなどの設備や消耗品も、建設費用とは別に発生する開業費用です。ホテルのクオリティに影響する重要な部分ですが、コストとのバランスを考えることも大切になります。

営業許可申請費用

ホテルとして営業するためには「旅館業営業許可」が必要になり、申請費用がかかります。自治体へ支払う申請費用のほか、必要書類の用意を委託する場合別途費用がかかるケースも。

 

ホテル建設・開業費用を抑える方法

ホテルの客室を統一して建設費用を抑える

客室を統一して効率化する

客室の内装材や意匠を統一し、材料と工事費の効率化をすることで建設費用を抑えられます。建材は同じ仕様にそろえることで、一括仕入れによるコストダウンを図れます。施工方法も規格化できるため、効率がアップし工事費用も抑えられるでしょう。

不要な共用部分や設備を縮小する

ロビーや荷物置き場といった共用部分、ムダな設備を縮小するのも効果的なコストダウン方法です。床面積は建設費用に直結するため、コストダウン効果も大きいです。ホテルのコンセプトやターゲットユーザー像をしっかり練り込んで、本当に必要な設備を選びましょう。

新築ではなく既存建物をリノベーションする

古民家をリノベーションしたホテル

前述したホテルの建設費用は新築の場合ですが、既存建物をリノベーションすればコストを抑えられる可能性が高いです。

例えば空きアパートをホテルにリノベーションすれば、1から新築するよりかなり費用を抑えることができるでしょう。

参照元:リフォ-ム産業新聞 ビジョナリー、空きアパートを宿泊施設に 昭和レトロな空間再現

国も空き家・既存建築物の活用を推進しており、古民家や廃校などをホテルにリノベーションする事例も増えています。環境負荷も少なく競合との差別化も図れるなど、コスト面以外のメリットも多いです。

補助金・助成金を活用する

国や自治体が用意している補助金や助成金を活用して、ホテルの開業費用を抑える方法もあります。

例えば新規事業としてホテルを立ち上げる場合、事業再構築補助金を活用できるケースがあります。またバリアフリー化や外国人観光客の受け入れに対する補助金制度も。予約管理システムなどを対象に、IT導入補助金を活用できるケースもあります。

〈関連コラム〉

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入札で適正価格の施工会社を選定する

複数の施工業者による入札を開催して、適正価格を見極めるのも一つのコストダウン方法です。入札では条件を揃えて複数の見積もりを比較検討でき、各社の競争環境が生まれるためコストを圧縮できるのがメリット。特に施工金額が大きくなるホテルは、入札によるコストダウン効果も大きくなるでしょう。

〈関連コラム〉

特命と入札、どちらが得?民間工事の場合のメリット・デメリットを比較

 

2023年の宿泊業界市場動向は?

ホテルの開放的な露天風呂

ここ数年ホテル・旅館を含む宿泊・観光業界は厳しい状況が続いていましたが、2023年は回復の兆しが見えてきているようです。訪日外国人・国内旅行者それぞれの動向を、データからチェックしてみましょう。

訪日外国人観光客の動向

2022年10月以降に入国者数上限が撤廃されたことを受け、訪日外国人観光客は堅調な回復を見せているようです。

※訪日外国人観光客数

  • 2019年 2,604,322人
  • 2022年 16,719人
  • 2023年 1,475,300人

出典:日本政府観光局 訪日外客数(2023 年 2 月推計値)

日本政府観光局の調べによると、2023年2月の訪日外国人数は1,475,300人でした。2022年2月は16,719人だったため、1年間で大きく回復していることが分かります。韓国・香港・フィリピン・マレーシアなどアジア・東南アジア圏の伸び率が大きく、欧米などほかのエリアからの観光客も順調に回復しています。

ただしコロナの影響を受ける前の2019年は2,604,322人で、2023年2月の人数は56.6%とまだ完全に回復し切ってはいない状態です。海外観光客の需要はまだまだ伸びしろがあると言えそうです。外国語対応など、海外観光客の需要をキャッチするための工夫も必要になるでしょう。

国内観光需要の動向

国内の観光需要も順調に回復しており、2023年は宿泊業界にとっても大きなチャンスのタイミングと言えそうです。

※日本人国内延べ旅行者数

  • 2019年 5億8,710万人
  • 2020年 2億9,341万人
  • 2021年 2億6,821万人
  • 2022年 4億1,805万人

出典:国土交通省観光庁 旅行・観光消費動向調査 2022年年間値(速報)

国内延べ旅行者数はコロナ前の2019年から50%以下と低迷していましたが、2022年は大きく回復しています。

※2022年国内延べ旅行者数の内訳

  • 宿泊旅行  2億3,255万人(前年比+64%)
  • 日帰り旅行 1億8,550万人(前年比+46.7%)

出典:国土交通省観光庁 旅行・観光消費動向調査 2022年年間値(速報)

さらに内訳を見ると、日帰り旅行より宿泊旅行の方が大きく回復しているのが分かります。これは宿泊業界にとって大きなプラス要素と言えるでしょう。

※2022年国内旅行消費額の内訳

  • 宿泊旅行  13兆7,341万円(前年比+96.4%)
  • 日帰り旅行 3兆4,355万円(前年比+56.8%)

出典:国土交通省観光庁 旅行・観光消費動向調査 2022年年間値(速報)

また旅行者数の回復に伴い、旅行消費額も前年より大きく増加しています。特に宿泊旅行の消費額は前年の2倍近くまで伸びており、旅行者数以上の増加傾向を見せています。国内旅行の市場動向を見ても、新規開業のホテルにとって大きなチャンスの年と言えそうです。

 

まとめ

コロナ過以降厳しい状況が続いた宿泊業界ですが、2023年は需要回復と大きなチャンスが期待できそうです。しかしコロナ前後では国内外の観光客の行動様式やニーズが大きく変化しているため、ホテルづくりにも工夫や対応が求められます。

ユーザーに選ばれるホテルをつくるためには、コンセプトやビジネスプランをしっかり練り上げることはもちろん、専門家目線のアドバイスも必要になるでしょう。

 

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(株)秀建 編集部

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