業態別、関連法規の管轄窓口はどこ?|営業許可や消防検査など確認

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業態別、関連法規の管轄窓口はどこ?|営業許可や消防検査など確認

この記事では、飲食・宿泊・ジム・温浴など、さまざまな業態を開業する際に必要となる営業許可や消防検査の内容や手続きについて解説します。

スポーツジム×サウナ、インドアゴルフ×飲食など、複合業態についての注意点などもご紹介しますので、開業に必要な基礎知識としてぜひ覚えておいてください。


コラムのポイント

  • 早めに関連法規や必要な手続きを把握するのが、物件選びや店舗づくりをスムーズに進めるコツです。
  • 保健所・消防署・厚生局など、業態ごとに異なる必要手続きをチェックしましょう。

開業・出店前に関連法規をチェックすべき理由

営業許可と非常口

どのような業態においても、開業や新規出店をスムーズに進めるためには初期段階で関連法規をチェックする必要があります。

例えば先に開業物件を決めてしまうと、法律で定められている建物の要件をクリアできない可能性が考えられます。仮に内装工事で何とか対応できても、無駄な工期と費用がかかってしまうかもしれません。また内装工事が完了した後に立ち入り検査で不具合が発覚して、オープンが大幅に遅れるケースもあります。

あらかじめ関連法規や営業許可手続きを把握しておくことで、トラブルを回避し計画通りに事業を進めることができるのです。細かい部分はその都度確認する必要がありますが、事業計画や物件探しに取り組む前に基礎知識を押さえておきましょう。

業態別、関連法規と管轄窓口

ここからは業態別に、具体的な関連法規と管轄窓口、必要となる手続きについてチェックしていきましょう。

どの業態も詳細はかなり複雑な内容になりますので、今回は基本的な届出の内容や流れに絞って解説します。

飲食店

飲食店の営業許可

レストランやカフェなどの飲食店の管轄窓口は、保健所・消防署の2つです。

営業許可(保健所)

飲食店を開業するためには、保健所から営業許可を受けなければいけません。

  1. 食品衛生責任者を置く
  2. 必要書類をそろえて保健所に申請
  3. 内装工事完了後、保健所の立入検査
  4. 許可証の交付

営業許可を受けるための大まかな流れは上記の通り。まずは調理師などの有資格者を食品衛生責任者として設置し、申請書や店舗の平面図、業態に応じた必要書類をそろえて申請します。内装やキッチン設備の工事が完了したら保健所の立入検査を受け、問題が無ければ許可証が交付され営業できるようになります。

飲食店の営業許可には申請料がかかり、地域によって異なり20,000万円以下のケースが多いです。

消防検査(消防署)

火を扱う飲食店は消防法に則り、所轄の消防署へ届出する必要があります。

  • 防火管理者選任届
  • 防火対象物使用開始届
  • 火を使用する設備等の設置届
  • 消防計画の届出

具体的には上記の届出をして、内装工事完了後に消防署の立入検査を受けた後、検査済証が発行されて営業可能な状態になります。立入検査の内容や判断は所轄の消防署や担当官によって異なるケースが多いため、事前協議で確認するのが望ましいです。

洋菓子店

洋菓子店の営業許可

ケーキやお菓子などを販売する洋菓子店の管轄窓口は、保健所・消防署の2か所です。

食品製造許可と営業許可(保健所)

洋菓子店を開業するためには食品製造許可が必要です。

  • パン・お菓子・ケーキなど⇒菓子製造許可
  • アイスクリーム⇒アイスクリーム製造許可

上記のように提供する食品の種類で製造許可が分かれます。また店内にイートインを設ける場合、飲食業と同じように営業許可も必要となります。

消防検査(消防署)

洋菓子店の消防検査の流れは、飲食店の場合とおおむね同様です。

民泊

民泊施設の営業許可

近年需要が高まっている民泊の開業は、保健所・消防署への届け出が必要です。

旅館業許可(保健所)

営業日数の制限を受けずに民泊営業する場合、旅館業法における「簡易宿泊施設」として届出が必要になります。民泊施設を管轄する都道府県の保健所に届出をしますが、事前相談を求める自治体が多いです。建築基準法・消防法への適合要件など、あらかじめ確認するのが良いでしょう。

自治体が定める必要書類と申請料を提出し、立入検査で構造・設備基準を満たしていることが確認された後、簡易宿泊所営業が許可されます。

消防法令適合通知書(消防署)

民泊施設は宿泊客の安全を守るための設備を備えた後、消防署への手続きを行います。

  • 消防法令適合通知書
  • 着工届
  • 設置届
  • 防火管理者選任届出書
  • 消防計画作成届出書

基本的には消防法令適合通知書の交付が必要となり、民泊施設の規模や内装工事の有無によってほかの届出が必要になることもあります。

民泊の消防手続きはかなり複雑で自治体によって判断が分かれるケースもあるため、必ず事前協議・相談を行いましょう。

旅館・ホテル

ホテルの営業許可

旅館やホテルなどの宿泊業は、保健所・消防署が管轄窓口になります。

旅館業許可(保健所)

旅館業許可は宿泊施設の中でも適合すべき基準が多いため、保健所への事前相談が必要です。ホテルと旅館では客室数が異なるなど、それぞれの業態に対応する必要もあります。宿泊施設の実績が多い施工会社を交えて、保健所と事前協議して基準や手順を把握してください。

温泉利用許可(保健所)

旅館やホテルで温泉を提供する場合、保健所から温泉利用許可を受ける必要もあります。足湯などの温泉利用でも許可が必要になるため注意しましょう。

温泉を新たに掘削する場合は開発許可、日帰り入浴に対応する場合は公衆浴場法に基づく許可が別途必要になります。

消防検査(消防署)

特定防火対象物に含まれる旅館・ホテルは、多くの防火設備が必要となり消防署の立入検査も発生します。施設の階数や床面積など規模によって設備の設置基準が異なるため、建築・内装工事の計画段階から確認をする必要があります。

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シェアハウス

シェアハウスの営業許可

専有部分以外に共同スペースを備えるシェアハウスは、賃貸業にあたるため特別な営業許可は必要ありません。ただし建築基準法・消防法などの対象となりますので、施工実績があり関連法規に詳しい施工業者に相談するのが望ましいです。

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スーパー銭湯・サウナ

スーパー銭湯・サウナの営業許可

公衆浴場法で「その他の公衆浴場」に分類されるスーパー銭湯やサウナは、保健所と消防署が窓口となります。

公衆浴場営業許可申請(保健所)

スーパー銭湯やサウナは換気・照明・衛生などの基準を満たし、保健所の立入検査を受けて営業許可を受けることができます。公衆浴場法営業許可については、こちらのコラムで詳しく解説しています。

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サウナ開業に必要な営業許可|公衆浴場法まとめ

消防検査(消防署)

電気・ガス・薪などのストーブを設置するサウナや温浴施設は、消防法に基づく設置基準への適合と消防検査も必要になります。詳しい内容はこちらのコラムで解説しています。

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ジム

ジムの営業許可

スポーツジムやパーソナルジムなどの業態では、基本的に特別な資格や営業許可は必要ありません。

ただしジムのつくりや収容人数、管轄する自治体によって消防署への届出や立入検査が発生するケースもあります。またジム内にシャワーを併設する場合は、スーパー銭湯と同じように公衆浴場営業許可も必要になります。

さらにジムは耐荷重や振動・騒音など建物側の要件が厳しいため、開業に適した物件を選ぶことが大切です。

クリニック

クリニックの営業許可

クリニックの開業では、保健所・厚生局・消防署が管轄窓口となります。

診療所開設届(保健所)

クリニックで診療行為をするためには、所轄の保健所へ診療所開設届を提出する必要があります。医療法では開設後10日以内の提出が定められていますが、内装工事完了後に提出するのが一般的です。提出後に保健所の立入検査が入ることもあります。

保険医療機関指定申請(厚生局)

保険診療を行うためには、所轄の厚生局に保険医療機関指定申請を提出する必要もあります。手続きが遅れてしまうと、受理されるまで自由診療しかできなくなってしまうため注意しましょう。

消防検査(消防署)

クリニックは有床・無床などどのような業態でも、消防署への届出と立入検査が必須となります。また収容人数や開業する建物により、防火管理者/防災管理者の選任が必要になるケースも。

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クリニック開業資金の調達方法|事業計画の考え方

インドアゴルフ

インドアゴルフの営業許可

都市部を中心に需要が高まっているインドアゴルフは、特別な届出や許可申請は必要ありません。

ただしゴルフバーのように店内で飲食サービスを提供したり、シャワールーム・サウナなどを併設したりする場合は関連法規への対応と届出が必要になります。

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複合業態の場合はどうなる?

ここまでご紹介したように業態によって必要な届出は異なりますが、複数の業態を組み合わせる場合はどうなるのでしょうか?結論からお伝えすると、組み合わせる業態によってケースバイケースです。関連法規が増えたり、逆に届出が不要になったりするケースもあります。

スポーツジムとサウナの複合業態

例えばスポーツジムにサウナを設置する場合は公衆浴場法の規制対象となり、保健所への届出が必要になります。しかしシェアハウスとサウナの組み合わせでは、公衆浴場法の対象とならず届出も不要です。

このような複合業態のケースでは複数の関連法規が影響するため、正確な判断をするのはかなり困難です。必ず組み合わせる両方の業態に詳しい専門家や、実績のある施工会社に相談するのが確実です。

自治体によって判断が異なることもある

それぞれの業態でも触れましたが、保健所や消防署の判断は自治体によって異なるケースも多いです。また同じ地域でも、立入検査の担当官によって現場判断が分かれる可能性もあります。基礎知識だけで内装工事を進めると、立入検査で指導が入り追加費用が発生したり工期が遅れたりする恐れがあるのです。

そのようなリスクを避けるためには、出店計画の初期段階から専門性の高い施工会社を交えて管轄窓口と事前協議することが大切です。

 

秀建のオフィス外観

私たち秀建は店舗・商業施設づくりのプロフェッショナルとして、飲食・宿泊・温浴など幅広いお客様の店舗づくりをサポートしてきました。

今回ご紹介した関連法規への対応や届出のサポートはもちろん、自治体との事前協議もお手伝い可能です。

複合業態など判断が難しいビジネスモデルについても、プロ目線でアドバイスいたします。どんな店舗についても、まずはお気軽にご相談ください。

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