医療業界も注目する低温サウナとは|活用事例も紹介

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医療業界も注目する低温サウナとは|活用事例も紹介

「サウナー」「ととのう」など流行語を生みだすほど盛況なサウナ業界。

美容・健康のためにサウナに入る方も多いですが、実は医療の世界でも注目が集まっています。

医療業界で注目されているのは、実際に治療の現場で活用されることもある「低温サウナ」。

今回は低温サウナの特徴や医療分野での活用事例にスポットを当ててみましょう。

 


コラムのポイント

・低温サウナは高温サウナにない特徴やメリットを持っています。

・実際に低温サウナが医療分野で活用された事例をご紹介します。


 

低温サウナが健康法として注目されている

低温サウナの室内

昨今のサウナシーンでは、高温のサウナでドッと汗をかき、冷たい水風呂との温度差で爽快感を得る利用法が主流となっています。

このような高温サウナも、血行促進や自律神経の調整などの健康効果があると言われています。しかし90℃以上の室内と冷たい水風呂の温度差が心臓や肺に負担をかけるため、持病のある方は医師への事前相談が推奨されていることが多いです。

健康な方が正しく利用すればメリットがある反面、入り方を間違えると体への負担や事故の原因にもなり得るということです。

 

サウナ施設の水風呂

最近は幅広い世代の方がサウナを楽しむようになりました。しかし一般的なサウナ施設は高温サウナが設置されていることがほとんどのため、持病のある方は利用するのが難しいのが現状です。

一方60℃以下の低温サウナは体への負担が少なく、持病のある方や高齢の方なども利用しやすいことから健康法として注目を集めています。

昔からスチーム・ミストサウナなどの低温サウナは温浴施設などでも見受けられましたが、最近は医療の現場で活用されることも。

老若男女を問わず人気のサウナブームを背景に、低温サウナの健康・医療方面での活用も今後さらに広がりを見せそうです。

 

低温サウナの特徴

 

温度は60℃以下

温浴施設に多いドライサウナは80~100℃前後の高温が特徴ですが、低温サウナは40~60℃前後で体をじっくり温めるものが主流です。

遠赤外線・スチーム・ミストなどの種類があり、高温サウナと比べると温度や刺激は控えめですが、その分無理せず長い時間入りやすいのが特徴です。60℃以下でも真夏日の外気温と比べればかなり高温ですから、汗をかくには十分でしょう。

呼吸の辛さなどを感じにくいため、サウナの暑さが苦手な方も利用しやすいです。

 

じっくり入って体を温める

低温サウナは体の表面ではなく芯を温めやすく、じっくり入ることで発汗やリラックス効果が期待できると言われています。

一般的な高温サウナは5分前後の短時間入浴が推奨されていますが、低温サウナは10~15分と長く入るスタイルが主流です。

時間は長いものの高温サウナのようにガマンして入るわけではなく、ムリなく汗を流して気持ちよく過ごせるのが低温サウナの特徴です。

 

体への負担が少ない

低温サウナは肺や心臓にかかる負担が少ないと言われています。

高温のドライサウナと水風呂の組み合わせは爽快感を得やすいものの、血管が拡張・収縮をすることで血圧が大きく変動し、心臓病や高血圧といった方は思わぬ事故が起きるリスクもあります。

浴槽の中のように体に水圧が掛からないため入浴より負担が少なく、高齢の方や体力に自信が無い方も利用しやすいのが特徴です。

 

遠赤外線サウナ

ドライサウナのような空気の対流ではなく遠赤外線の輻射熱によって体を直接温めるタイプで、50~60℃前後の低温サウナとして採用されることが多いです。

遠赤外線の作用で低い温度でも体を温めやすく、息苦しさを感じにくいのが特徴です。

遠赤外線サウナは冷え性改善や美容効果も高いと言われていて女性にも人気があり、後述する医療用サウナとしても活用されています。

 

スチームサウナ

水を沸騰させた蒸気によって体を温めるタイプのサウナで、室内温度は40~50℃前後に設定されることが多いです。

湿度が高いため乾燥しにくく、呼吸も苦しくなりにくいのがスチームサウナの特徴。

低温ですが汗が蒸発しにくいため、意外と発汗もしやすいです。

 

ミストサウナ

お湯を霧状にして室内に噴射し、40℃前後の室内温度で楽しむサウナです。

スチームサウナ同様低温ながら湿度は高いため、苦しさを感じにくくゆったり楽しめるのが特徴です。

塩やハーブ・薬草などと組み合わせることも多く、リラックスしたい方に好まれます。

 

低温サウナの医療活用事例

低温サウナは実際に医療現場でも活用されています。日本では慢性心不全の治療に「和温療法」が使われています。

和温療法は日本の鹿児島大学で鄭忠和氏が開発した治療法で、日本循環器学会のガイドラインに掲載され「高度先進医療」として承認されています。

参照:和温療法

 

  • 1:体重・血圧・心拍数を測定する
  • 2:60℃に設定した遠赤外線乾式サウナ治療室で全身を15分温める
  • 3:サウナから出てベッドなどであおむけになり30分間の安静保温をする
  • 4:元の体重から発汗した分の水分を補給し、血圧と心拍数を測定する

 

和温療法の具体的な手順は上記の通りで、心不全など運動・入浴などによる発汗が難しい方のために開発された治療方法です。

60℃15分間のサウナで平均1.0℃の深部体温を上昇させ、全身の血管を拡張させて血液循環を促進し、治療効果を発揮させるものです。

1989年に開発されてから30年以上の歴史があり、患者に苦痛やガマンを強いず、ほとんど副作用のない先進治療として注目を集めています。

また心不全患者の症状や心機能、全身の血管や臓器に作用する神経体液因子を改善させることも、実際の臨床例で証明されています。

和温療法が実際に心不全治療に活用された事例を一つ見てみましょう。

慢性心不全が悪化して呼吸が難しい状態の患者さんが和温療法に取り組んだところ、2週間で改善し退院できるまで回復したそうです。

参照:NHK 低温サウナによる心不全治療 

2020年には、重症で入院している心不全患者は保険が適用されるようになったそうです。

また心不全のみでなく、慢性疲労症候群・線維筋痛症・シェーグレン症候群など治療法が確立されていない病気にも、和温療法が活用されています。

実際に慢性心不全に対して和温療法を実施している施設は、大学病院やクリニックなど国内のさまざまな地域に広がっています。

まだ近くで和温療法を受けられない地域もありますが、今後さらなる広がりが期待できそうです。

参照:厚労省

参照:サウナ好きならば知っておきたい!保険も適用される治療法「和温療法」の効果とは?

参照:社団法人 日本サウナ・スパ協会 

 

まとめ

体への負担が少ない低温サウナは、入浴や高温サウナの利用が難しい方への健康・治療法として注目されています。

特に医療の一環として活用できる施設はまだ少ないため、検討する余地は大きいと言えるでしょう。

 

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