ログハウス自作はどんな流れ?|法律やメンテナンスも把握

ログハウス

ログハウス自作はどんな流れ?|法律やメンテナンスも把握

近年はコンパクトなログハウスキットが販売されていて、DIYによる自作を考えている方も多いと思います。丸太(ログ材)を組み合わせていくログハウスは日本の木造軸組み工法よりハードルが低く、実際にセルフビルドはそれほど難しくはありません。

しかし、ログハウス自作には建築基準法や消防法といった法律が絡むこともあり、完成した後のメンテナンスも事前に把握する必要があります。

今回は、ログハウスを自作するために必要な準備や作業の流れ、法律・メンテナンスを含めた基礎知識をまとめてお届けします。


コラムのポイント

  • ライフラインが必要ないコンパクトなログ小屋なら、セルフビルドのハードルは低く挑戦しやすいです。
  • 実際にログハウスを自作する流れを把握しておくと、必要な準備が分かりスムーズです。

 

ログハウス自作は難しくない?

構造が単純なログハウスは自作しやすい

構造が単純なログハウスはセルフビルドする方が多く、日曜大工が好きな方なら自作は難しくないでしょう。ログハウスキットを購入すれば複雑な加工は不要で、用意されたログ材を組み上げるだけで完成します。

住宅用途のログハウスだとログ材一本あたり100㎏近くのものもありますが、一辺2メートル前後のログ小屋なら一本20kg前後なのでクレーンなどの重機は不要です。

体力に自信がある方なら、1人で組み上げるのも難しくないでしょう。また電気・水道・ガスなどのライフラインが必要ないログ小屋なら資格も不要なので、プロに依頼せずすべて自作するのも可能です。

基礎や資格が必要な工事だけプロに依頼して、残りは自作するハーフビルドという方法もあります。

 

ログハウス自作はこんな方におすすめ

ミニログの自作

 

費用を抑えてログハウスを手に入れたい

休日などを利用してログハウスをセルフビルドすることで、施工費用を節約できるのは大きなメリットです。

ログハウスのサイズにもよりますが、プロに組み立てを頼むとそれなりの費用がかかりますので、節約効果は大きいです。

ログハウスキットだけ購入して自作できれば、リーズナブルな価格で理想の空間を実現できるでしょう。

 

サウナや離れの書斎など小さなログハウスが欲しい

前述したようにコンパクトなログハウスほど自作のハードルが低いため、サウナ・離れの書斎が欲しい方にはセルフビルドが特におすすめです。

コンパクトなログハウスなら材料の仮置きや作業スペースもコンパクトですし、手作業できるので重機も不要です。高さもそれほどないので、足場を組まずに脚立だけで組み立てられます。

逆に言えば、居住スペースとして大きなログハウスを建てる場合は、ハードルが高いのでプロに頼んだ方が良いケースが多いということです。

 

家族の思い出をつくりたい

ご家族みんなで協力してログハウスを自作すれば、良い思い出づくりにもなります。小さくても一つの建物を自分たちの力でつくるのは、満足度が高いものです。ログハウスは適切なメンテナンスで長く使えますので、お子さんが成長したときの良い思い出にもなるでしょう。

 

ログハウス自作の流れ

実際にログハウスを自作するのに必要な準備、大まかな作業の流れを解説します。それぞれの作業の詳細は、敷地の状況や購入するログハウスキットによって異なります。ここでは全体の流れを把握して、スムーズな準備・作業ができるようにしましょう。

 

自治体への事前相談/申請

ログハウス自作前に自治体へ事前相談

具体的にログハウスキットを選ぶ前に、まずはお住まいの自治体へ事前相談しましょう。詳しくは後述しますが、ログハウスは母屋と同じ建築物とみなされるため、建築基準法や消防法の対象となります。

状況によっては建築確認申請が必要になったり、ログハウス自体が建てられなかったりする可能性もあるのです。購入してから発覚すると大変ですから、必ず事前相談をしましょう。

窓口は自治体によって異なることもありますが、基本的には市町村の建築指導課が担当になります。

 

ログハウスキットを購入

ログハウスキットの製品図面

事前相談でログハウスを建てられることが確認できたら、実際に製品を選んで購入します。

ログハウスキットはデザイン・価格・サイズなどさまざまな種類がありますが、特に木の品質をチェックしてください。

ログハウスは天然木のログ材が直接雨風にさらされますので、木の品質が耐久性に直結します。例えば、価格の安い輸入木材は、高温多湿な日本の気候に合わないこともあります。通販やホームセンターで売っている格安のウッドフェンスやデッキなど、屋外でボロボロになっていることが多いですよね。

日本の風土に合った高品質なログ材は、適切な塗装メンテナンスをすることで長く使うことができます。

デザインや価格も大切ですが、ログハウスを長く使うならまず木の品質にこだわって選んでみて下さい。

 

基礎工事

ログハウスの束石基礎

ログハウスキットを購入したら、本体寸法に応じたサイズの基礎をつくります。1坪(2畳)前後のミニログなら、基礎をつくる方法は複数あります。

 

基礎の種類

難易度

コンクリート平板

コンクリート束石

ブロック基礎

布基礎/ベタ基礎

 

コンクリート平板や束石を並べる方法は難易度が低く、コンパクトなログハウスにおすすめ。ただし、しっかり基礎を固めて水平を出さないと、ログハウスを組む段階で不具合が出ますので、基礎知識は必要となります。

コンクリートブロックを複数並べる基礎も、道具とコツさえつかめばそれほど難易度は高くありません。

一般住宅と同じような布基礎/ベタ基礎のDIYも不可能ではありませんが、型枠を組み大量のコンクリートが必要になるので現実的ではないでしょう。

 

本体の組み立て

基礎が完成したら、次の順番でログハウス本体を組み立てていきます。

  1. ログ積み
  2. 屋根組み
  3. 窓・ドア取り付け
  4. 天井・床貼り

ログハウスキットならあらかじめ部材が加工されているので特別な技術は必要なく、説明書通りの手順で組み立て可能です。なるべく短期間で組み上げるのが理想ですが、週末ごとなど時間が空く場合は、雨にさらされないようしっかり養生しましょう。

 

外壁屋根の塗装

ログハウス本体が完成したら、太陽光や雨風にさらされる外回りの塗装をします。

塗料にはさまざまな種類がありますが、防カビ・防虫機能があり耐久性の高いものがおすすめです。塗料はたくさんの種類があり選びにくいので、ログハウスキットのオプションで一緒に購入するのがおすすめ。

 

ログハウス自作で注意すべき法規制

自作ログハウスの図面

ログハウスは建築物ですからさまざまな法規制の対象になります。次のような規制について事前確認が必要です。

 

防火地域/準防火地域

耐火建築/準耐火建築に対応できるログハウスが必要

建ぺい率

母屋の延床面積が土地の建ぺい率上限で建っている場合、ログハウスは建てられない

建築確認申請

ログハウスの床面積が10㎡を超える場合、また自治体の判断によって建築確認申請が必要になる。

高さや広さの制限

ミニログ以外は、高さや床面積、耐力壁の配置や寸法などの制限を受ける可能性がある。

参考:国土交通省

 

法令それぞれの内容はとても細分化されているので、ここですべてを説明することはできません。しかし、ログハウスの自作に関係する可能性が高いポイントを知っておけば、自治体に事前確認して回避できる可能性が高くなります。

 

ログハウスはどんなメンテナンスが必要?

自作ログハウスのメンテナンス

ログハウスも一般住宅と同じようにメンテナンスが必要になります。自作する前にメンテナンスのことも把握し、しっかり準備しておきましょう。

 

セトリングによる調整

ログハウスは完成してから2~3年間、木の収縮による壁の沈み込みが発生します。ログ材が縮んで壁の高さが低くなるため、ボルトの増し締め、ドアや窓回りの調整が必要になります。

セトリングが起こるのは最初の数年間なので、それほど手間が負担になることはないでしょう。

 

外壁・屋根塗装

セルフビルド時に塗装した外壁・屋根は、3~5年前後のサイクルで再塗装が必要になります。塗装が必要になるタイミングは、日当たりや選んだ塗料などによって変動します。定期的に外壁や屋根を目視点検して、防水性が低下したら再塗装すると、雨漏りや腐食を防止しやすくなるでしょう。

 

まとめ

2~4畳程度のミニログは自作のハードルが低いため、比較的挑戦しやすいでしょう。ただし小さくても建築物ですから、法規制や建築確認などの事前確認は必須です。全体の流れを把握したうえで、スムーズなログハウスのセルフビルドを目指しましょう。

 

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監修者情報

(株)秀建 編集部

(株)秀建 編集部

店舗やオフィスの設計・内装・施工、公共工事のプロフェッショナル(株)秀建が発信するオウンドメディア。
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